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*画像は、マヌエル・アントニオのホテルの庭。


コスタリカの旅行は、快適だったと言える。

食事や水はまず安心だし、どこでも清潔なトイレが無料で使え、レストランなどでチップを置く必要もない。国土が小さいから国内の移動にあまり時間がかからず、それぞれの国立公園の中では、さほど苦労することなく、野生の生物を観察することができる。コスタリカでは、自然と人間の生活が、まるで隣り合わせだ。ある程度整備されているとはいえ、ともかくも檻のない空間で、色鮮やかな鳥や、愛嬌のある動物が見られるのは、純粋に楽しい。

そういうふうに思ったのは、自分にとって身近なメキシコやペルーと、比較するからである。
大きい国では、自然のスケールも壮大だ。どこまでも続く山並みや平原、或いは密林に抱かれた湖など、見渡す限り人工物のひとかけらさえない景色がある。心細くなるほどに圧倒的な自然の中で、たとえ動物の姿が視界にはなくても、全身に押し寄せてくる野生の気配は、日常とは全く異質の体験だ。でもそんな旅にはいつも、未舗装の山道を何時間もドライブするとか、高地での頭痛や息苦しさ、ぬかるみの中を延々と歩く事などが、つきものだった。

たとえば50年くらい前、この国が一体どんな所だったのか、見たかった気も、する。
1821年の独立当時、コスタリカの国土は95%が密林に覆われていた。現在その割合は、40%以下になっているという。