ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属、学名は Aristolochia elegans (=Aristolochia littoralis)。
日本にあるウマノスズクサと同属の植物だが、こちらはブラジル原産で、メキシコでは帰化植物となっているようだ。学名にエレガンスとつくくらいで、スペード形の葉も、変わった形の花も観賞価値があるから、日本では園芸植物として流通しているらしい。
この植物を初めて知ったのは一昨年の11月で、そのとき見たのは、なんとも奇妙な蕾と種だった ( →アリストロキア(蕾と種))。昨年5月にその花を見ることができ ( → アリストロキアの花)、自宅で種を蒔いたのは、さらにその後のことである。これが、先日はじめて花を咲かせた。膨らんだ蕾の密着した綴じ目がきれいに開いて、前面は平たい花になるのが、なんだか不思議である。
この属の植物は世界に500種以上あるという。花の形が独特で、真中の開口部から曲がりくねった管が続き、奥が少し広くなっていて、そこに雄蕊と雌蕊が収まっている。花は最初に雌蕊が成熟するが、その時点で中まで入り込んだ小さなハエなどは、途中の細い部分にある毛のために、外に出られない。ところが雄蕊が成熟して花粉を出す頃になると、花筒の逆毛が萎縮して、ハエは花から脱出し、別の花に入り込んで花粉をつける、という仕掛けらしい。
こういうことを知ってしまえば、好奇心の強い者が次にすることは、決まっている。
・・・花をひとつ取って来て、切り開いてみたのが、次の画像。
・・・花をひとつ取って来て、切り開いてみたのが、次の画像。
鋏を使って中心を丁寧に切っていくと、中から小バエが数匹飛び出してきたのでびっくりした。考えてみれば、ちゃんと解説で読んだ通りのことが、実際に起こっているだけのことである。
ところで、ウマノスズクサという和名なのだが、これは花(或いは実)の形が、馬の首に下げる鈴の形に似ているから、などというのだが、そもそもその元となる 「馬の鈴」 とは、いったいどういう形のものなのだろう?
・・・馬鈴薯も馬の鈴だと気がついてから、謎はさらに深まっている。
・・・馬鈴薯も馬の鈴だと気がついてから、謎はさらに深まっている。
コメント
コメント一覧 (8)
そうそう。馬鈴薯っていつ聞いても不思議でした。
馬の鈴・・・そうはとても思えません。見た事なし・・・
胡蝶
がしました
ハエが好む異臭はしませんでしたか。なかなか戦術的な構造が興味深いねー。(^_^)v…
胡蝶
がしました
馬の鈴に似ているから、と言われても、全くイメージがわかなくて・・・。
だいいち、鈴をつけると言われてもねえ・・・猫じゃなくて馬なのに。
胡蝶
がしました
この蕾が、押しても空気が漏れないくらい、しっかりと閉じているんです。で、翌朝になると綺麗に開いている。中を覗くと、毛の生えた管の中で、ショウジョウバエがじたばたしています。そのまた次の日には、毛がほとんど目立たないくらいになっていて・・・。
庭に植えると、色々と観察できるので、楽しいですね。
臭いでハエを誘うというけれど、私には匂いません・・・鼻が悪くなったのかな。
胡蝶
がしました
それにしてもカットした図はなんとも不思議な構造。これってやっぱり飲み込んだものをトラップしてしまうように出来てるんでしょうかね?!
見れば見るほど不思議です!
胡蝶
がしました
記事をよく読んでくださればわかると思いますが、この構造は受粉のための巧妙な仕掛けです。虫は花の奥に閉じ込められてしまいますが、その後解放されるので、食虫植物ではありませんよー。
胡蝶
がしました
http://www.google.co.jp/search?q=%E9%A6%AC%E9%88%B4&hl=ja&client=firefox-a&hs=aa2&rls=org.mozilla:ja:official&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=mzXHT_3NNPCXiAfh7pHrDg&ved=0CG8QsAQ&biw=1024&bih=630
胡蝶
がしました
馬鈴薯の名も、由来がはっきりしていないようだし。
でもウマノスズクサという名前は、なんとなく好きなんですよ。
胡蝶
がしました