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植物園には、コーヒーノキがあちこちに植えられている。

コーヒーの花は2~3日しか咲いていないけれど、実が熟すのには9ヶ月ほどかかるそうで、そうと知れば、いつ行ってもたくさんの実がなっているのに、花を見ることが非常に稀だということにも、納得がいく。

我が家の庭に植えたコーヒーノキは、いくつかの が咲いて も出来たのに、うっかりしているうちに木についたままドライフルーツ化してしまった。だから、植物園でたわわに稔った真っ赤な実を見ているうちに、つい試食の衝動にかられたのである。・・・よく色づいて多少柔らかそうな実を選び取り、指先でちょいとこすっただけで、口に入れてみた。

コーヒーの実はあまりに種が大きくて、皮と種の間にほんのわずかな果汁があるだけ。漠然と期待していた果肉らしきものは全くなかった。しかし皮が破れて出て来る果汁は、はっきりと甘かった。

ほとんど一瞬のこの美味は、言ってみれば、花の蜜を吸うのに似た楽しみと言えるだろうか。