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クエルナバカはいよいよ春めいて、木々の新葉が目立つようになってきた。

画像の木でも、最初に目についたのは、透明感のある赤い新葉。でもその周囲にたくさん咲いている花を見て、あれっと思った。目の前にある木の幹には、見慣れた形のトゲがある。しかしこれは、あちこちで見知っている パンヤの花 とは、全く違うからだ。
もしかして、と調べたら、同じ ceiba 属の、Ceiba pentandra。それどころか、いわゆるパンヤノキというのは、こちらのことで、カポックとも呼ばれている。

これまでに何度か、パンヤノキとしてご紹介してきたのは多分、日本ではトックリキワタと呼ばれる Ceiba speciosa。この和名は、やはり種に繊維のできる Bombax(キワタ)属との混同らしい。おまけに観葉植物の Schefflera arboricola がカポックと呼ばれているのは、葉の形やつき方が似ているからだろうか。植物の呼び名には、かなりの混乱があるようだ。

アメリカ、アフリカ、アジアの熱帯地域に自生する Ceiba 属には、多種類の高木があるが、幹のトゲや葉の形、綿の出来る実などの特徴は、似通っているようだ(だから胡蝶は、この属の植物を皆パンヤと認識している)。なのに、花の大きさや形は様々で、Ceiba aesculifolia の花は、これまた、まるで別ものである。
同属どころか、同じ科というだけでも、同定の難しい植物だってあるのに、同属でありながらそれぞれが、これほどに個性的な花を咲かせるというのも、不思議としか言いようがない。