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メキシコ在住のある日本女性がトルティーリャを1キロ買ってきて、いったい何枚あるものかと数えていたら、メキシコ人のご主人が激怒した、という話を、ずっと前に聞いた。
・・・この国には、食べ物は数えない、という暗黙のルールがあるのを、彼女は知らなかったのである。

親しい仲でも、「ものすごくいっぱい食べたのね」というのは構わないが、「パンを三つも食べたでしょ」なんて言い方は決してしないものだと、スペイン語の先生にも教えられた。また、手の届かないパンやトルティーリャなどを「ひとつ取って」と言われても、ひとつだけ手渡すのは厳禁である。入れ物ごと差し出して、自分で取ってもらうのが、正しい。

すべてのメキシコ人というわけではないが、食べるものを数えるのは、まるで管理・制限されているように感じるのだという。これにはもちろん、歴史的また階層的な、根強い理由がありそうだ。
幼い子供に対する褒め言葉は「可愛い」とともに「よく太っている」である。また、彼らがダイエットを苦手とし、米国に次ぐ世界第二の肥満大国となっているのは、こんな心理的事情もあるのではないかと、胡蝶は密かに疑っている。

ところで、1キロのトルティーリャは、約40枚だ。
画像は青いトルティーリャ。普通のものは白いが、これは原料のトウモロコシが違うので、こんな色になっている。