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alcancia というスペイン語 (貯金箱の意) で画像検索してみたら、ほとんどの画像が、豚の貯金箱だった。

そういえば、ヘソクリのことを cochinito (仔豚) ということがあるくらい、貯金箱といえば豚の形が多い。なんで豚なのだろう・・・と調べてみたら、これは英語起源だった。英国では昔、台所の壷に余ったコインを入れていたのだが、この壷は、pygg という赤い陶土で作られるため、pygg jar と呼ばれていた。その “pygg” が “piggy” (仔豚) と混同された挙句に、豚の形の貯金箱が一般的になってしまったのだとか。


何故こんな調べものを思いついたのかと言えば、市場にチーズを買いに行ったら、店先に豚の貯金箱が置いてあったからだ。

クリスマス休暇の里帰りや晩餐、プレゼント等、12月の大きな出費を補うため、メキシコにはアギナルドと呼ばれる年末賞与の制度がある。また、家庭の使用人などには、油や米等の基本的食品を一箱に詰めて贈ったり、ゴミの収集やその他の、普段世話になっている人たちに、チップを渡したりもする。小売店にこの時期置かれる貯金箱は、店に対する年末の特別なチップを、客が入れるためなのである。

よく考えてみれば、小さな店とはいえ従業員たちは労働法によって守られているから、最低限のアギナルドはもらえるはず。そもそも、「1年の感謝をこめて」 店の方から何かサービスするのなら分かるけれど、客に対してそれを要求するなんて、日本の常識から見れば、全く立場が逆である。

チップの習慣 同様、日本人としてはどうも納得のいかない風習で、なんとなく後ろめたい気分を残しながらも、胡蝶はそのまま通り過ぎてしまうのが常なのだが・・・ひょっとしたらこれは、無宗教であるために、“喜捨” の精神が欠如しているためなのかもしれないと、ふと思った。