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「骨盤ダイエット」というものの広告をはじめて見たとき、それがいったい何なのか、どうしても理解できなかった。
ダイエット (スペイン語ではディエタ) というのは、いわゆる食餌療法のことで、一番多く話題になるのが痩身目的だとはいえ、その他に、病気の治療や回復期の食事、また、単に日常の食生活のことを言う時にも使う言葉である。だが日本語だとどうやら、ダイエットとはイコール痩身のことらしい。

また、”マンゴープリン” (プリンというより、むしろババロア) や、ベイクドレアチーズケーキ (焼いた生ケーキ・・・?) などという紛らわしい言葉を見れば、そのつど悩まされているし、”ムーディー” や ”フェミニスト”などのように、本来の意味とは全く違う使われ方が定着しているのも、どうも気になってしまう。

外来語は、伝わっていった国で独自の意味になり、そこからまた略語や合成語が生まれる。どんどん増えてくるカタカナ語は、日本語を学ぶ外国人泣かせなのだが、翻訳者にとっても苦労の種である。だから翻訳者時代には、「カタカナ語辞典」も欠くことのできない商売道具だった。それもほとんど毎年最新版に買い替えなければ役に立たなくなっていくのが、情けなかったものである。

重箱の隅をほじくるように、一つ一つの言葉の意味を細かく詮索するのは、身についてしまった翻訳者の性のようなもの。「突っ込み」だの「揚げ足取り」だのと、相手に嫌がられることも間々あるが、どうしても曖昧なままにはしておけないのである。
この辞書は10年くらいも前のものだから「ブログ」という言葉さえ載っていない。退職後、新しい版はもう買っていないが、今はネットでも簡単に調べられるからね。